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AI駆動開発のうらがわ

2026年10月9日

最新更新日:2026年10月9日

コードを1行も書かずに進める、アプリ開発・数値分析・ASO

SEEDaのプロジェクトは、CodexとClaude Codeを使って開発しています。自分ではコードを1行も書いていません。

AIには、実装に加えて、公開後の数値分析や改善案の検討も手伝ってもらっています。ダウンロードの状況を調べたり、利用がどこで途切れているかを確認したり、App Storeに載せる言葉を見直したり。

今回は「おせわノート」を例に、実際にどんなことをしているのかを書いてみます。数値や変更内容は、2026年8〜9月の分析・リリース記録をもとにしています。

1. 暮らしの中の「ほしい」を、AIと形にする

おせわノートを作ったきっかけは、自分自身の暮らしでした。

複数のペットを飼っていて、家族でお世話をしています。毎日のお世話を記録して、家族でも確認できるものがほしい。その身近な要望から、開発が始まりました。

作りたいものを伝え、実装してもらい、動いたものを確認する。気になるところがあれば、また伝えて直してもらう。そうやってアプリを作っています。

公開すると、今度は別の問いが出てきます。

  • 必要としている人に見つけてもらえているか
  • インストールしたあと、最初のお世話を記録できているか
  • その後も使ってもらえているか

こうした問いも、AIと一緒に確かめています。

2. 数値分析は「何を知りたいか」から始める

数値を見るときは、まず知りたいことを決めます。そのうえで、必要なデータを取得し、集計条件を確認してから結果を読みます。

知りたいこと確認するデータ
App Storeで見つけてもらえているか表示回数、新規ダウンロード数、流入元
登録後に使ってもらえているかお世話の記録、操作イベント、登録からの経過日数
有料プランの購入につながっているか購入画面の操作と、課金サービス側の契約情報

ここで大事にしているのが、数字が何を数えているのかを揃えることです。

家族で使うアプリなので、世帯単位で見る

おせわノートは家族で使うアプリです。家族2人が同じ記録を見ても、独立した2組の利用者として扱うと、実態を読み違えることがあります。

そのため、利用状況を見る場面では「世帯」を単位にしています。

また、登録したばかりの世帯を「1週間後も使ったか」の集計に入れることはできません。開発・審査・テスト用と分かっている世帯を除き、必要な観察期間が過ぎた対象だけで比較します。

最初の記録と、その後の継続を分ける

9月27日の分析では、登録から14日以上たった同じ46世帯を対象に、次のように集計しました。

確認したこと世帯数
登録後24時間以内に記録した35/46世帯
登録7日後から14日未満にも記録した17/46世帯
初日に記録した35世帯のうち、上の期間にも記録した16/35世帯

この結果から、最初の記録にたどり着く体験と、その後も記録を続ける体験を、分けて考える必要が見えてきました。

ただし、記録がなかったことだけで「アプリを使っていない」「不満があって離れた」とは判断できません。記録する頻度は家庭によって違いますし、見返すだけの利用もあり得ます。既知のテスト世帯は除外していますが、すべてを識別できている保証もありません。

そこで、次に確かめる仮説として「日々の記録や振り返りで、つまずくところがないか」を置き、画面や実装も調べています。

3. 数字を見ながら、日々の使いやすさを直す

実際の改善例に、写真の保存に失敗したときの表示があります。

以前は、お世話の記録自体は保存できていても、その後の写真アップロードが失敗すると、記録全体が失敗したように見える場合がありました。

それでは、利用者がもう一度保存して、同じ記録を重ねてしまう可能性があります。

そこで、記録と写真の保存結果を分け、「お世話の記録は保存できた」と分かる表示に修正しました。この変更は、9月26日に公開したバージョン1.14に含まれています。

こうした修正を公開したことと、継続利用が改善したことは、別々に確認します。

先ほどの46世帯の集計には公開前の利用が多く含まれるため、1.14の成果としては扱っていません。変更した内容と、変更後に確かめることを分けて記録しています。

4. ASOでは「何ができるアプリか」を言葉にする

App Storeで見つけてもらうためのASOにも取り組んでいます。

ASOは、ストア上の名前、説明、キーワード、画像などを整え、アプリを探している人に用途を伝える取り組みです。

おせわノートでは、9月に検索キーワードを見直しました。

当時の登録ペットの構成、競合アプリの公開ページ、公開検索APIの結果を確認し、「ハムスター・小動物のお世話記録」という軸を維持しながら、具体的な使い道を表す言葉を補う方針にしました。

動物の名前に、お世話の用途を組み合わせる

「ハムスター」だけでは、飼育記録を探している人も、ゲームを探している人も含まれます。

「餌やり」「掃除」「日記」のような言葉なら、アプリでできることを、もう少し具体的に表せます。

9月11日に公開したバージョン1.10では、日本語のキーワード欄を次のように変更しました。

変更内容変更した理由
「ペット」を追加日本語のキーワード欄にも、対象を明示するため
「手帳」を「日記」に変更日々の飼育の様子を残す使い方に合わせるため
「えさ」を「餌やり」に変更記録する行動を具体的に表すため
「掃除」を追加実際に記録できるお世話の内容を補うため
「小鳥」「モモンガ」「ウズラ」を外す限られたキーワード枠を、今回は用途を表す言葉に配分するため

外した動物の飼い主に需要がない、と判断したわけではありません。「インコ」「文鳥」「フクロモモンガ」などの語は残しています。

現在の利用状況とアプリの機能を踏まえ、どの言葉を優先するかを決めた変更です。

変更したものと、維持したものを記録する

このとき、タイトルとサブタイトル、アイコン、通常の商品ページのスクリーンショットは維持しました。

何を変えたのかを記録しておくと、その後の数字を読むときに、変更との関係を追いやすくなります。

Appleも、アプリの機能に合った具体的なキーワードを選ぶことや、名前・サブタイトルに含まれる語をむやみに重複させないことを案内しています。こうした公式の説明も確認しながら進めています。Appleの検索ガイド

一方で、公開検索APIの返却順は、そのままiPhoneでの検索順位とは扱っていません。検索語ごとの検索回数や、どの言葉から何件ダウンロードされたかも、この調査では取得できていません。

今回の変更は、実際の用途に合う言葉を選び、公開後の変化を確かめるための施策です。

5. アイコン変更後にDLが増えた。その理由は?

アイコンの変更でも、見た目と数字の両方を確認しました。

8月末の変更を挟んだ前後7日間について、9月9日時点で取得した日別データを集計すると、次の結果でした。

指標8月20〜26日8月28日〜9月3日
App Storeでの表示回数853回1,448回
新規ダウンロード9件15件
表示100回あたりの新規ダウンロード1.06件1.04件

日付はAppleレポートの日付を使っています。最後の行は集計値同士を割った参考値で、同じ人を追跡したダウンロード率ではありません。

ダウンロード数だけを見ると、9件から15件に増えています。ただ、表示回数も増えていて、表示100回あたりのダウンロード数はほぼ同じでした。

直前にはキーワード変更もあり、比較期間には別バージョンの公開も含まれています。

この結果から言えるのは、「変更後の期間には、表示とダウンロードが増えていた」ということです。アイコンだけの効果として、増えた6件を説明することはできません。

AIに分析を手伝ってもらうときも、「増えた」という事実と、「なぜ増えたか」という説明を分けることを大事にしています。

6. レビューのお願いも、比較できる形にする

レビューのお願いの仕方も、比較できる形にしました。

用意したのは、次の2つの案です。

  • A:「いつも記録してくれて、ありがとう。」
  • B:「使ってみた感想、聞かせてください」

世帯ごとに表示する案を固定しています。文面に加えて、イラストや閉じる導線も違うため、画面全体の比較です。

表示は一定回数の記録操作をしたあとに限り、閉じた場合は7日間休止する設計にしました。

測るのは、初回表示から7日間観察できた世帯のうち、レビューを書くボタンを押した割合です。タップしたあと実際に投稿したかは分からないので、「レビュー投稿率」とは呼びません。

比較するもの、表示条件、測る数字を先に決めて、実装と集計処理を用意する。ここにもAIに手伝ってもらっています。

7. AIと一緒に、公開後も改善を続ける

SEEDaでは、実装から公開後の分析、ストアの改善まで、AIと一緒に進めています。

自分は、何を確かめたいのか、利用者にどんな体験をしてほしいのかを伝え、提案された変更を確認して進めています。

無料でも日々のお世話を気持ちよく記録できること。保存できたかどうかで不安にさせないこと。家族で無理なく使えること。数字を見ながら改善するときも、その方向を大事にしたいと思っています。

まだ利用規模は小さく、判断を保留することもあります。それでも、何を変え、なぜ変え、結果をどう確かめたかを残すことで、次の改善につなげられます。

これからも、作ったアプリと一緒に、その裏側の試行錯誤も書いていこうと思います。

ちなみに、この記事もAIと一緒に、実際の分析・リリース記録を確認しながら書いています。

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